財産の保全
今までの日本の信託は利殖目的の制度ととらえられていました。金融商品のなかでは
利率が少しよいという理由で利用されてきました。
これは、日本人に信託のイメージを誤らせていたということかもしれません。信託
とは本来、信託することにより財産の保全、つまり安全性の確保のための制度です。
例えば、以前、あるご老人の事件がありました。そのご老人は土地を持っており、
それを守り自分が亡くなった後に娘に承継させたいと思っていました。
娘は重度の知的障害で、そのご老人は悪徳業者につけ込まれ、財産を全部奪われ
てしまったというケースでした。 本人がいかに強固な意思を持って財産を守りた
いと考えていても、悪徳な業者に誘惑され、実印を押し署名捺印してしまえばそれ
ですべて終わりになってしまいます。このケースでは、本人も殺され、さらに不幸
なことに司法書士までも関与していという事件でした。積極的な関与ではなく、本
人の意思を確かめずに契約書を作成してしまったということですが、専門家として
は非常に残念な問題です。
- POSTED at 2019年03月19日 (火)